クロノスタシスって知ってる：クロノスタシスはどんな現象？

クロノスタシスとは

サッカードと呼ばれる速い眼球運動の直後に目にした最初の映像が、長く続いて見えるという錯覚の現象。

ー出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/クロノスタシス

サッカードと呼ばれる速い眼球運動

私たちが生活している間、視線は絶え間なく動いています。

ご飯を食べながらテレビを見ることを想像してみて下さい。ご飯に視線がいったり、テレビに視線がいくことが分かると思います。

実はある一点を見つめているような時でも私たちの眼球は細かく、高速に動いています。

これらの眼球運動がサッカードと呼ばれるものです。

視界がブレないのはなぜ？

ちょっと想像してみて下さい。

スマホのビデオカメラでサッカードと同じ動きでなにかを撮るとどうなると思いますか？

実のところ、私たちの網膜にはブレブレの映像が映っています。目もカメラも構造が同じですから、当然そうなります。

しかし、私たちの脳は凄いんです！

脳はわざとサッカード中に網膜に映るブレブレの映像の、ちょうどブレた部分だけをカットしています。

ブレブレの映像はちょうどブレた部分をカットすれば、なめらかな映像に切り替わります。

こういうわけで、私たちの視界は意識的にはブレブレにならないのです。

本題：なぜ時計の針は止まって見えるのか

ブレブレなのでカットされた部分の映像はなにで埋め合わされているのでしょうか？

正解は、サッカード直後のブレが収まった映像です。

これがクロノスタシスが起きる理由なんです。

これで、なぜ時計の針(秒針)が止まってみえるのかというと、

今、あなたはテレビを見ていると想像してみて下さい。

ふとして、今何時なんだろうなと思って時計をパッと見ます。

この時計の秒針は20秒を指しています。

さっきまでの話から考えると、テレビから時計へと視線が変わったのでサッカードが起こったと考えられます。

それなので、視線が変わるまでにブレた映像が生じたはずです。

しかし、そのブレた映像は脳の働きでカットされて、時計へと視線が完全に移った後の映像＝サッカード直後の映像＝20秒を指した秒針が止まっている映像によって埋め合わされます。

きのこ帝国の曲”クロノスタシス”の歌詞の考察

コンビニエンスストアで

350mlの缶ビール買って

きみと夜の散歩

時計の針は0時を差してる

ー出典：クロノスタシス/作詞・作曲：佐藤

“クロノスタシス”って知ってる？

知らないときみが言う

時計の針が止まって見える

現象のことだよ

ー出典：クロノスタシス/作詞・作曲：佐藤

誰も知らない場所に行きたい　

誰も知らない秘密を知りたい

街灯の下で　きみの髪が　

ゆらゆら揺れて　夢のようで

ゆらゆら揺れて　どうかしてる

ー出典：クロノスタシス/作詞・作曲：佐藤

主要な歌詞を抜き出してみました。

この曲が描写しているのは、深夜の恋人との散歩ですね。

深夜の恋人との時間、この日常なんだけれども非日常のような、そんな時間にずっと浸っていたいという感情を読み取ることができます。

主人公は恋人に「クロノスタシスって知ってる？」と聞きます。当人たちからすると普通の雑談かもしれませんが、俯瞰的に観ている我々はエモさを感じることになります。

クロノスタシスでは秒針が止まって見える＝この時間が少しでも長く続けばいいと主人公が感じているからこそ出た話題なんじゃないかと考えられるからです。